アジア獣医専門医制度の設立

1997年に日本獣医皮膚科学会(JSVD)が設立され、最も重要な事業の一つとして獣医皮膚科専門医制度の設立を検討した。後進の飛躍には世界に通用する制度の導入が不可欠であり、欧米と同様に国家ではなくアジアを一単位とした専門医制度の設立を目指した。当初、近隣諸国との親善に力点を置き、2002年に台湾で第1回アジア獣医皮膚科会議を開催、翌2003年韓国で開催された第2回大会にて参加7カ国からなるアジア獣医皮膚科学会(AiSVD)を設立した。そしてAiSVDの主たる事業としてアジア獣医皮膚科専門医協会 (AiCVD)の設立を掲げた。

 

欧州皮膚科専門医協会設立時とほぼ同様の行程をもって、2004年夏にAiSVD設立メンバーのうち7カ国9名が皮膚科専門医書類審査を受ける機会を得た。審査は欧州および米国の皮膚科権威、Prof. D. LloydProf. T. Willemse, Prof. P. Ihrke, Prof. D. Scott4名により実施された。20058月に審査が終了、Charles Chen(台湾)、岩崎利郎(東京農工大学)、永田雅彦(ASC)の3名がアジア獣医皮膚科専門医に指名された。と同時に暫定協会理事によりレジデント教育と専門医試験の遂行を目的とした実務に携わる専門医、de facto 専門医が公募され、同様の書類審査により2010年に5名が指名された。そして国内では、2011年に東京農工大学(東京都)が、2012年にどうぶつの総合病院(埼玉県)が協会指定教育施設に選定され、それぞれからAiSVD会員とJSVD会員に向けてレジデントが公募された。

 

現在それぞれの施設で、各1名が3年間のレジデント教育を受けている。2015年には第1回アジア獣医科専門医試験が実施される予定である。