2012 勉きょい合宿
勉きょい合宿とは?
「学校では学べないこと」
をコンセプトに、臨床分野の最前線で活躍されている先生方をお招きし、近くで講義やお話を聞くことで、将来へのステップアップにすることを目的としています。
勉きょいとは、2010年初めて開催された「勉強合宿」の名前を変え、「皆でわっしょいと積極的に乗り越え、学ぼう」という姿勢をあらわしています。
内容
①problem solving
石田卓夫先生(赤坂動物病院医療ディレクター)によるPOMRについての講義から始まりました。学生5〜4人に先生が1名ずつのグループになり、症例に対し、どのように検査をし、診断をしていくかのプランを順番に作りました。外見、レントゲン写真、血液検査値から、知識や本を頼りに、先生方のアドバイスを受け、皆で知恵をしぼり、プランニングを行いました。アメリカの獣医学生は、低学年からこの方式を特訓されるそうです。
日本人はよく自分の意見が言えないと言われています…、しかし日本の学生もここではやらねばいけません!!低学年も高学年も関係なく、皆で意見を出し合い発表しました。1日この作業を行いましたが、実際の獣医師は数十分でこの作業を行います。目指すは、パターンで対応するのではなく考える獣医師。先は長いですが、今回はその大事な一歩です。
最後には、学生が獣医師役、先生が飼い主さん役でのインフォームドコンセントを行いました。飼い主さんを説得するためには、話し方だけなく、座る位置により相手に与える印象が異なること、自分が精一杯のサポートをすることなど誠心誠意を見せることが大事などを学びました。学生も先生相手に緊張し、途中で料金説明が通販みたいになった学生もいましたが、無事飼い主さんに説明し理解していただくことができました。
②講義
それぞれの先生方から1講義ずつお話していただきました。先生方が専門で扱っている分野や、獣医師の役割、飼い主さんと獣医師の関わり方など、知っているようで知らない世界ばかりでした。以下、勉強合宿にいらっしゃった先生と、講義内容です。
石田卓夫先生(赤坂動物病院医療ディレクターなど)
「絆を中心においた獣医学」など
入江充洋先生(四国動物医療センター長)
「がんを患ってみえたこと」
小野啓先生(ぱる動物病院院長)
「眼科疾患と全身疾患」
川田睦先生(ネオベッツVRセンター整形外科部門)
「画像診断学で行う跛行診断」など
小林哲也先生(小動物がんセンター長)
「臨床医のためのがんの診断学」など
高橋聡美先生
problem solvingにご参加いただきました。
生川幹洋先生(なるかわ動物病院院長)
「骨肉腫の外科治療」
③懇親会
夜は、先生と学生が飲みながら、お話をしました。なぜ今の分野に進んだのか、目指す獣医師とはなど真剣な話から、恋愛話などでおおいに盛り上がりました。学生と臨床の先生が話せる場は、大学ではなかなかありません。
体験談
東京大学5年 高木俊浩
勉きょい合宿、河口湖にて。三日間にわたる現役の臨床獣医師さんによる講義にこのたび参加させていただきました。今まであまり臨床の領域とは交わる機会が少なく、それゆえに興味を持たずに将来の可能性を潰すのは勿体無いと考えて参加を希望しました。
内容で特に興味深かったのはProblem Solvingです。ある症例に対して、どのような方針で検査を進め、どんな治療法を提示するかまでの流れをグループワークで議論して行く方法です。アメリカでの教育では基本形となっているものの、日本ではポリクリの時に一部の方法が適用されることがあるだけであまり馴染みのある方法ではありませんでした。これを体験してみて、今まで座学でインプットしていた情報が、今回アウトプットベースになっただけでこうも興味深く新鮮な情報になって見えてくるのには感動しました。
今までの勉強のあり方まで考えさせられ、いい刺激となった勉きょい合宿。お泊り企画でもあるので、毎晩楽しく過ごせて仲間との仲も今まで以上に良くなりました。泊まりでのハイテンションで語り明かせることはそう多くあるわけではないので、非常に楽しかったです。来年も実施されるとのことなのでぜひ参加したいです。