2010年 IVSA-J 勉強合宿

体験談①

酪農学園大学獣医学科4年  加藤大貴

 

 富士山の麓河口湖で行われた2泊3日の春の勉強合宿に参加した感想を書きます。今回は小動物臨床の世界で知らない人はいない立派な3名の先生方にお越しいただくことができました。そして、参加者は全国各地、学年もばらばらのやる気あふれる獣医学生が30名ほど集まりました。

 1日目は小林哲也先生に腫瘍の化学療法の講演をしていただきました。抗がん剤の使い方について聞いたのですが、わかりやすくてとても楽しかったです。夜は参加したみんなと小林先生や川田先生を囲んで懇親会が開かれ、自分たちの研究テーマについて話したり、先生方の学生時代の話しなどで盛り上がり親睦を深めました。

 2日目は川田睦先生による整形外科の講演でした。日頃、ネオベッツVRセンターで整形外科を専門に診られている先生の講演は実際の臨床現場でのお話や我々学生が就職したとき初めに犯しやすいミスの注意点などためになるものばかりでした。その後、参加者みんなでバレーボールをして交流を深めました。前日に出会ったばかりのみんなだけど、チーム一丸となりとても盛り上がり、メンバーの仲も深まりました。夜は石田先生が到着され、早速講演をしていただきました。学生がどのような思いで獣医師を目指していくべきか、獣医師とはどうあるべきかといった内容のもので、石田先生のどうしても我々学生に考えて欲しいという熱い思いのこもった講演でした。その夜は先生方3人を囲んでの食事会で色々な話を聞くことができました。

 3日目は石田先生による臨床病理の講演でした。全国各地で講演されている先生だけあって論理的で、わかりやすい検査データの読み方など、臨床の現場に直結するような話を聞くことができました。わずかな期間でしたが多くの仲間ができ、また来年この春合宿で会えるのを楽しみにみんな帰宅の途につきました。

 僅か3日間という短い期間ではありましたが、僕はこの合宿でとても大きな3つの事を得ました。
 1つ目はやる気のある同年代の仲間たちと出会えたことです。やる気あるみんなと話すのはすごく面白く、共に学ぶのはとても楽しかったです。また、自分のモチベーションを高めることにも繋がりました。合宿に参加したようなやる気のある人たちが将来日本の小動物臨床の世界を引っ張って行くのかと思うと、またみんなとどこかで出会えることが楽しみでなりません。
 2つ目は小動物の分野でご活躍されているとても有名な先生方といろいろなお話ができたことです。30人という少人数ゆえに先生方と直接話すことができ、自分の知りたいことをたくさん聞けました。講義から親睦会まで合宿中に先生とお話しする機会はたくさんあり、先生方の経験、アドバイス、考え方や海外の情報など興味深いことだらけでした。
 3つ目はもちろん充実した講義です。多忙な先生方が学生の僕らのためだけの講義を、熱意を持ってして頂きました。低学年にとっては予習、高学年には深く臨床を学ぶ場となりました。

  最後に、来年も春合宿を開催する予定だという事なので興味を持った方は是非ご参加ください。合宿にかかる交通費や参加費等の費用は自分たち学生にとって決して安くはないですが、それ以上のとても有意義で価値ある合宿でした。高まったモチベーションは学校での勉強の励みになりました。

講演していただいた先生方には本当に感謝しております。
ありがとうございました。

 

 

体験談②

麻布大学4年  西元俊恵

 

 3月最後の3日間で、IVSAJ初の試みである、獣医師と獣医学生による勉強合宿が開催されました。
 場所は、雪の残る富士山が目の前に望める富士河口湖で、参加者は、学生が男子14名、女子18名の計32名、3名の臨床現場でご活躍されている獣医師の先生方をお呼びして行われました。 私は、この勉強合宿には、実行委員の一人として参加しました。
 臨床獣医療の最前線でご活躍されている先生方のご講演を生で聞けるということ、そして海外経験をお持ちの先生方のお話を聞く事で、海外の獣医療・獣医学、さらに私たちのいる日本の獣医療や獣医学教育について知識を深める事ができるというコンセプトに惹かれたからです。

 3日間のスケジュールは次のとおりです。
 1日目はお昼前に現地に集合した後に、先生方お2人に2時間ずつの講義をして頂きました。最初の講義は、腫瘍の専門医でいらっしゃる先生にして頂きました。実際に、腫瘍とどのように戦うのかというお話は、大学で受ける授業とはまた違った緊張感があり、印象的でした。内容はすごく高度なのに、わかりやすいく説明していただき、学年問わず勉強になる内容でした。また、今回の参加者の6割程が高学年(最終学年)だったので、臨床現場では実際に抗がん剤をどのように使うのがいいのかというような非常に実践的な内容に皆興味を持ったように感じました。
 2つ目の講義は、整形外科を専門にやっていらっしゃる先生にして頂きました。骨折治療法を中心に、基本的な整形外科の治療法から最先端の治療法まで、わかりやすく面白い授業でした。講義では実際に、跛行の診断(ビデオを見ながらの説明、視診、身体検査診断など)や、臨床現場で重要なことをお話していただきました。ある5年生の方は、合宿後に大学の外科実習の授業で、この講義で学んだ内容が出てきて、勉強と実際の臨床がつながった瞬間だったと語っておられました。講義の後は、先生方を交えての懇親会をしました。ここでは、勉強以外の色々なお話しをする事が出来ました。例えば、海外でどのような経験をしたかとか、学生時代にどのようなことをしていたか、また先生と恋愛のお話などもさせて頂いたりして、それぞれが有意義な時間を過ごしていました。

 2日目は、午前中2時間ずつの講義を前日と同じ2人の先生方にしていただいた後に、交流イベントとして、合宿所近くの体育館に移動してバレーボールをしました。これは今回参加して頂いた先生からのご提案です。海外の臨床のカンファレンスなどに行くと、学会やシンポジウムなどでは難しい話をした後には一時休憩して、皆でスキーやテニス、アウトドアのスポーツをやってリフレッシュするらしいのです。そのような定番に乗っ取って、今回私たちもスポーツを取り入れました。本当は先生方も参加の予定だったのですが、あいにく体調が万全ではなく、今回は見学されていました。試合の優勝チームには、豪華景品があるということで、皆チーム一丸となり本気でプレーしていたのでとても楽しく、良い時間を過ごせました。(豪華景品は今回参加して頂いた先生方3人からの直筆のメッセージが書かれたノートでした)その後、1時間程度日本のこれからの獣医療についてや、お話しをして頂いた後に懇親会をしました。

 3日目は、アメリカでの留学経験をお持ちの先生に、臨床病理に関しての講義を4時間程度していただきました。端々に先生ご自身の海外での経験、また、これから私たちが目指さなくてはいけない獣医師とはどういうものか、という内容の話をして頂きました。

 わたしは、この合宿に参加して、これからの方向性を考えるきっかけになり、合宿中何度も良い刺激を受けました。というのも、合宿参加前には、私は将来小動物の臨床獣医師になるとは全く考えていませんでした。それは、今までに一度も小動物病院への実習などには参加したことが無かったために、具体的な仕事のイメージが全く湧いていなかったという理由でした。この合宿に参加した直後から、小動物臨床にとても興味がわき、将来に向けて具体的な目標が立ちました。

 低学年の学生は特に、自分が将来どのような方向に進めばいいのかイメージが湧かない人も多いと思います。そんな中で、このように実際に先生とお話しして、疑問をぶつけることのできる機会というのは、本当に貴重だと思います。また、他大学とのつながりが持ちたいと考えていらっしゃる学生には、全国からのモチベーションの高い仲間と過ごせる、最高の場になると思います。

 これからもIVSAJ恒例のイベントとして、さらに発展した春の合宿となるように頑張りたいです。是非、みなさんのご参加お待ちしています。